2012年12月24日月曜日

BOØWY BLU-RAY COMPLETE

ボウイ ブルーレイ コンプリート

BOØWY 30th Anniversary 20121224


BOØWYのメジャーデビューから30年ということで、オリジナルアルバムがBlu-Spec CD2仕様の高品質盤としてのリイシュー(MORALはSHM-CD)、BOØWYの初ライブ・アルバムであるGIGSが、全て武道館公演の音源を収録し“NAKED”として新たにリリース、BOØWYのDVDをBlu-ray化した映像版BOØWY COMPLETEが発売されました。また、シングル盤のBOX仕様、ファン投票によるベスト・アルバムなども予定されています。

今回の一連のリリースの中で、武道館のライブアルバムの発売は、BOØWY作品のリリース史上に残る大きな事件ともいえる出来事ではないでしょうか。武道館のライブを収録したBOØWY初のライブアルバムとして1986年に限定リリースされた“GIGS” JUST A HERO TOUR 1886は、武道館ライブも収録されているがほとんどが他の会場の音源であり、オーヴァーダビングも施されている。BOØWYはあくまでもライブ・バンドであり、その当時ベスト・アルバムを出すならライブ・アルバムとしてリリースしたいというメンバーの気持ちがそのまま反映された作品であり、ライブハウス武道館という日本の音楽シーンに永遠に残り続けるであろう名言も、このアルバムが存在が非常に大きい。

そのライブ・アルバムが、全て武道館の音源を使用し、そのままの形で“GIGS" JUST A HERO TOUR 1986 NAKEDとしてリリース。生まれ変わったというよりも完全な新作である。全てのBOØWYファンは必聴であるわけですが、ロック好きな人に是非とも体験してもらいたい素晴らしい作品になっています。

前置きが長くなってしまいましたが、BOØWYのブルーレイ盤のリリースについて。これには様々な意見があるようですが、値段設定、単品売りの有無、画質については不満を持っている人がどうも多いようです。売り方については、不満が出るのは仕方ないとはいえ、商魂丸出しだの、食い物にするな、メンバーは望んでいない!だの妄想が激しいというか思い込みが強すぎるというか残念な意見がレビューサイトなどで目につきます。いわゆる中二病まんまの意見や考えの大人の人って結構多いよなとは思ってはいるんですが、こういうときになおさら実感してしまいます。そしてPistolsのE.M.Iの影響もあるんでしょうけど、矛先が全て製造元のレコード会社に向けられているようです。大元のYUI MUSICは?あとEMIって曲は勝手に契約解除されたことについて・・・の歌ですけどね。

さて、ブルーレイということで、多くの人が気になるのが画質でしょう。ブルーレイ化を手がけるのはハリウッドの大作の修復で定評のあるリライアンス・メディア・ワークス社なんていう、いかにも凄そうな感じがするプレスリリースがありましたが、海外と日本では高画質の基準がそもそも異なりますし、DVD化の際のマスターをHD化するだけなのでは・・・つまり古い映画がフィルム自体をリストアしデジタル化際にも修正加工を施し、見違えるような作品になるのと話が違うんです。

最初に結論として言ってしまいますが、画質に期待して見るのはやめておいた方がいいです。

思えば、ロックンロール・サーカスの音源がリリースされた時、CDが24bitリマスター、BOØWY史上最高の云々とうたっておきながらもCCCD仕様。そして肝心の音質が悪い(といってもライブの前の方の曲だけなのですが)。あれが仮に発掘された音源をそのまま加工なしで出します、と、今回のGIGSのNAKEDのようなスタイルでのリリースだったら、過剰な期待が故のガッカリ感もずっと少なかったかもしれません。

BOØWYのBLU-RAY COMPLETE・・・画質は向上はしています。ただし見違えるような違いはありません。DVD再生時のアップコンバーターが優秀なプレイヤーだと、さらに差が小さくなるとおもいます。Blu-ray盤を見てガッカリして、こんな汚かったっけ?とDVD盤の方を見なおしたらもっと画質が悪く感じるでしょう。そしてなんとも言えない変な気持ちになると思います(笑)DVDをDVDプレーヤーで、昔のテレビで見るのが一番綺麗かもしれません。

買うメリットは?

ロックンロール・サーカスのオフィシャルでの新映像が見れること。

あとCASE OF BOØWYがディスクチェンジなしで一枚で見れます。

そして、布袋さんのMEMORIAL SUPER BOXと比べればだいぶ小さいんですが、箱が大きいので所有欲は満たされるかもしれません。人によっては大きすぎるかもしれません。箱自体は高級感あります。

私自身は、メリットとか何も考えずに、単純にBOØWYが好きで、初のブルーレイ作品ということだけで買ったんですけどね。いくら画質がイマイチでも手に入る中では最高画質。昔のものだから仕方ないし、BOØWYの魅力は何も変わらない。それでいいんじゃないでしょうか?

とはいっても、ファン投票のベストアルバムについてだけは、躊躇してしまいます。

ベストアルバムということで、ターゲットは、BOØWYをあまり知らない若い世代、入門編的な位置なんだと思うのですが・・・自分たちの投票により収録曲が決まる、次の世代へ語り継がれるべきアルバム、というようなコンセプトは、BOØWYのファン層にはどうなんでしょう?ファン投票によるベストアルバムっていう企画自体はよくあるものでしょうけど、そういうもの自体にアンチな人が多いんじゃないですかね。。。THIS BOØWYという大ヒットベストが既にあり、その後のDRAMATICとDRASTICというベストは商業的にもファン心理的にもどうだったの?という疑問が残っていますし、出来れば今回のSTORYも他のアーティストのベストとは違う“何か”を表現して欲しかったな、と思います。例えば2枚組なら、1枚目はスタジオ録音もの、2枚目はそれのライブヴァージョンとか。曲順もまんま同じだったりしたら結構面白いと思うのですが。

次は、35周年?40周年?か分かりませんが、発見!発掘!ということでのリリース。今後もひょっとしたらあるかもしれませんが、私自身はその度にワクワクできる喜びをきっといつまでも持ち続けると思います。5年後、10年後にCDはどの程度残っているかわかりませんが、新たなBOØWY COMPLETEとかでるかもしれませんね。そしてその頃ハイレゾ音源はどのくらい普及しているのか・・・

そうそう布袋さんの映像作品も、新しいフォーマットで欲しいですね。GUITARHYTHM SERIOUS! CLIMAXの完全版のBDとか出たら本当に嬉しいんですけど。

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2012年10月9日火曜日

[SHM-CD] COMPLEX [2012 Remastered]

COMPLEXのオリジナル2作品とライブアルバムの3作品のリマスター盤がSHM-CDとしてリリースされました。

リマスター盤といっても、リマスター=いい音、というわけではなく、音圧至上主義が蔓延したために、単純に音圧を上がり迫力は増してはいるものの音の強弱が犠牲となって音の広がりやニュアンスがスポイルされてしまい、リマスター盤が手放しで歓迎されるものでなくなっているというのも事実です。

リマスター盤でいうとCOMPLEX BESTでガッカリした過去があったので、今回も少し不安ではあったのですが杞憂でした。布袋寅泰作品ではおなじみのイアン・クーパー氏によるリマスタリングです。今回印象的だったのはヴォーカルとギターの音に艶が出たように聴こえることです。吉川晃司の声と布袋寅泰のギターが絡み付くように鳴ってるところが個人的に好きだったりするんですが、その魅力が増してうれしい限りです。全体的に音圧が上がり音が明瞭になったものの 『COMPLEX』と『ROMANTIC 1990』それぞれのアルバムが持っていた音のカラーはそのままです。『19901108』ももちろん良くはなっていますがインパクトはやはりオリジナル作品ですね。何度も繰り返し聴いたはずの曲なのに、新鮮味を感じるだけでなく新たな再発見もあったりと満足度は非常に高いです。

それぞれのアルバムの持っていた雰囲気はそのままで、良い音になり、しかもSHM-CDということで、COMPLEXが好きな人ならば是非とも揃えておいた方がよいと思います。布袋さん曰く「最後のCD化」です。ネットワークを使ったPC Audioも徐々に浸透しはじめており、CDという規格の古さから考えて本当に最後でしょう。24bit/96kHz or 192kHzでのハイレゾ音源の配信、いつかくることでしょう。

リマスター盤は各種配信サイトでも配信中です。どのくらい変わったか試しに1曲聴いて判断するのもよいと思います。1998年のリマスターのままなのがcomplex bestで他は2012年リマスターですので、聴き比べてみることをおすすめします。
COMPLEX
ROMANTIC 1990
19901108

>> COMPLEX

2012年8月24日金曜日

PROMETHEUS


プロメテウス
ギリシャ神話に登場する神
「先見の明を持つ者」「熟慮する者」の意
人類を作ったとされる
ゼウスが傲慢になった古い人間を大洪水で滅ぼし、新しい人間と神を区別しようと考えた際、彼はその役割を自分に任せて欲しいと懇願し了承を得た。プロメーテウスは大きな牛を殺して二つに分け、一方は肉と内臓を食べられない皮に隠して胃袋に入れ、もう一方は骨の周りに脂身を巻きつけて美味しそうに見せた。そして彼はゼウスを呼ぶと、どちらかを神々の取り分として選ぶよう求めた。プロメーテウスはゼウスが美味しそうに見える脂身に巻かれた骨を選び、人間の取り分が美味しくて栄養のある肉や内臓になるように計画していた。だが、ゼウスはプロメーテウスの考えを見抜き、不死の神々にふさわしい腐る事のない骨を選んだ。この時から人間は、肉や内臓のように死ねばすぐに腐ってなくなってしまう運命を持つようになった。

ゼウスはさらに人類から火を取り上げたが、プロメーテウスはヘーパイストスの作業場の炉の中にトウシンソウを入れて点火し、それを地上に持って来て人類に「火」を渡した。火を使えるようになった人類は、そこから生まれる文明をも手に入れることになった。

その行いに怒ったゼウスは、権力の神クラトスと暴力の神ビアーに命じてプロメーテウスをカウカソス山の山頂に張り付けにさせ、生きながらにして毎日肝臓をハゲタカについばまれる責め苦を強いた。プロメーテウスは不死であるため、彼の肝臓は夜中に再生し、のちにヘーラクレースにより解放されるまで半永久的な拷問が行われていた。
Wikipediaより

エイリアン』『ブレードランナー』といったSF映画の代表作品の監督であるリドリー・スコット監督が、1979年の『エイリアン』の前日譚として企画し、オリジナル作品として今年の6月に公開された映画『プロメテウス』。日本では海外から約3か月遅れ8月24日に公開。

“人類はどこから来たのか?”という人類の起源がテーマの壮大な作品としてプロモーション活動しているが、この作品はエイリアン・シリーズ前日譚が元であり、映画『エイリアン』を観ていないと深くは楽しめない。単体としてももちろん面白いのだが、人によっては、期待していた内容と違う、全然面白くない、気持ち悪い、という感想しか持たれないと思う。超個人的なことだが、幼少の頃、テレビでやっていた映画『エイリアン』で衝撃を受け、現在にいたるまで影響を受けている自分にとってはエイリアンは最重要作品の一つであるが故に、CMなどを見るたびになんだか悲しい気持ちになってしまう。

というわけで、『プロメテウス』を観る前に、エイリアン・シリーズを最低でも1作目、できれば全部観ることを強く勧めます。昔観たことあるという人も今一度復習するとよいと思います。ブルーレイも発売してますしね。

詳しい内容には触れませんが、以下『プロメテウス』の簡単な予備知識です。地球上のあちこちに存在する古代遺跡(現代科学でも説明がつかないものが多いですね)が共通のサインを持っており、それが宇宙のある惑星を示している。人類は進化論(教科書に載ってますが、現代では衰退してます。猿から人へ、は説明がつかなくなってます)で生まれたものではなく、その惑星に人類の祖先、または人類を創造した“エンジニア”がいるのではないか?ウェイランド・コーポレーションという大企業のCEOであるピーター・ウェイランドは、その謎の解明するために宇宙船プロメテウス号に出資し問題の惑星LV-233へ向かわせる。

まず、映画『エイリアン』の舞台が異なります。映画『エイリアン』ではLV-426が舞台です。映画『エイリアン』における最大の謎とされてきたスペースジョッキーと呼ばれるものが映画『プロメテウス』にも登場します(但し、同じものではありません)。エイリアン・シリーズでウェイランド湯谷(ユタニ)社という日系企業&アンドロイドがエイリアンを地球に持ち帰ろうという黒い目的がありますが、映画『プロメテウス』では合併前のウェイランド・コーポレーションになってます。

2012 ウェイランド社設立(11月10日)
2023 ピーター・ウェイランドの講演(★日本語訳
2089 映画『プロメテウス』
2XXX ウェイランドとユタニ合併
2092 エレン・リプリー誕生
2122 映画『エイリアン
2157 ウェイランドユタニ社がLV-426に開拓者派遣
2179 映画『エイリアン2』
2270 映画『エイリアン3』
24XX ウェイランドユタニ倒産
2470 映画『エイリアン4』

映画『プロメテウス』は、エイリアン・シリーズ前日譚ということですが、おそらくシリーズ化し(続編の製作はすでに決定してます)、最終的にエイリアン・シリーズに繋がるのではないかと思います。

映画『プロメテウス』様々な要素が詰まった深い映画です。古代文明の謎や人類の起源、宇宙などに興味ある人でエイリアン・シリーズ好きな人はどっぷりはまってしまう、ある意味マニア向け映画です。リドリー・スコット監督はエイリアン・シリーズでは1作目のみの監督なのですが、映画『プロメテウス』ではエイリアン・シリーズの各作品へのオマージュというか知っている人は思わずニヤっとしてしまうシーンもちりばめられています。

なお、のちに発売されるBlu-ray/DVDには劇場版からカットされた映像が大量に追加されるそうです。
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2012年8月22日水曜日

THE DARK KNIGHT RISES


クリストファー・ノーラン監督によるバットマンシリーズの最終章となるTHE DARK KNIGHT RISES。素晴らしくかつ凄い作品だった。バットマンビギンズ、ダークナイトから続く善と悪とは何か?という普遍的なテーマは変わっていないのだが、最終話では、現在の世界の情勢を随所に盛り込み、ヒーローの意義、そして社会とは?さらには人間とは何か?ということについての監督なりの回答を提示していると思う。

恐らく言いにくいから、という理由で邦題は“ライジズ”でなく“ライジング”になっているが、この映画は“rise”が重要で、ライジングでなくライズでないとダメだと思う。 なお、3部作のラストであるので、バットマン・ビギンズダークナイトをしっかり観た上での鑑賞が望ましい。というか、そうでないと意味がない。

内容については特に触れないが、思ったことを少し書いてみる。強引な部分やまとまっていないところもあるかもしれないがご容赦下さい。

世の中には本来善悪なんてものは存在しない。人が生活する場所・国におけるルールに沿うか沿わないかでしかない。人も、いい人、悪い人には分けられない。他人による見方でしかなく見方によればどっちにも見えうる。基本的に人は他人からよく思われたいものだろう。自己犠牲を払って人を救う、助ける行為、それが英雄視されるかどうかは、感情論を抜きにすれば、その行為を評価する人としない人の数の差でしかないのかもしれない。そしてその評価は、時として入れ替わる。プラスとマイナス、陰と陽、正と悪、すべては表裏一体である。人はどうしても、片方ばかりを望む。考えることは苦しいことだから誰かに答えを求めがちである。それは誰もが持つ心の弱さであり、その弱さが犯罪を犯すきっかけでもあり社会の歪みの根源ともいえる。

このバットマン・シリーズは、主人公ブルース・ウェインがの己の弱さの克服し、バットマンとなり(バットマン・ビギンズ)、大きな力を持つが故に生じてしまう悪との対決とさらなる葛藤、そして大きな決断(ダークナイト)、そしてバットマンの復活~解放までの物語である。そして主要な登場人物のストーリーにもそれぞれ意味がある。人間だれもが抱える内なる悩みを登場人物に重ね合わせることができるはずだ。

英雄とは何なのかーすべての人が英雄になれるという、どこにでもあるありふれたことと言ってしまえばそれまでだが、この作品では新しい形で見せてくれている。超越した存在、スーパースターがメインのようなヒーローものとは明らかに描き方が違う。人間臭いというか、ありのままを見せてくれる。スーパーヒーローなのに普通の人間っぽさがにじみ出ている。悪役にしても同じである。それがゆえに、ただの娯楽映画としてだけ観ると、脚本がグダグダに思えたり、フィクションなのに現実的におかしいという意味のないアラが気になったり(複数の進行を同時にみせるノーラン監督の見せ方は本当に秀逸!)、前作のジョーカーのインパクトと比較しつまらないという見方をする人が恐らく多いかもしれない。ゴッサムシティもニューヨークまんまで不満という人もいるかも。しかし、この映画は、そんなこと(というと語弊あるかもしれないが)は気にならないくらい、とにかく内容が素晴らしい。ダークナイトが世界で記録的なヒットしたのに日本ではイマイチだったのは、やはり映画の見方というか、まあ日本の社会上仕方のないことだろう。例えばダークナイトをアメリカとその軍事力、戦争、それに付随する社会問題と自然と重ね合わせて観ることは普通には無理がある。日本には自衛隊があり、実際かなり強力な軍事力を有しているが、敗戦国、原爆、核兵器はもっていない(ということになっている)、平和な国というイメージを多くの人が持つが故にリアリティがないからだ。

しかし2011年を経て、2012年を迎えいわば指導者(表立った)不在ともいえる現代社会において意識が変わった人は多い。それは“rise”という動詞が実にしっくりくる。THE DARK KNIGHT RISESに社会、人、自分自身を重ね合わせて、考えさせられる人は以前よりはきっと増えていると思う。一人一人が自身の力で考えて自己を高め行動する。既存の常識、信じてきたものを再考する。それぞれが筋の通った考えを持つ、そこに行き着こうと努力すれば社会、世界は変わるはず。そんなことまで思わされた作品でした。

深いテーマをもった素晴らしい作品は、世の中にはたくさんある。芸術は多くの人に伝わらないと意味がない。このクリストファー・ノーラン監督によるバットマンシリーズ3部作の凄いところは、世界中で多くの人が楽しませるエンターテインメントでありながらシリアスかつディープなテーマを持つという絶妙なバランスだと思う。ハリウッドもすてたもんじゃない。そして3部作ものの映画って・・・どうしても1もしくは2が面白くて3作目でガッカリするというパターンが多い気がしますが、このシリーズは順番に上がっていきます。人気ではダークナイトでしょうけどね。

映画でも音楽でも絵画でもなんでもそうだと思うのだが、作品を自分のものにできるかできないか・・・より素晴らしい作品を自分だけのものにしたい、そのためには己を磨くこと、楽しんで精進していきたいものです。


2012年5月23日水曜日

#008 - 1990.5.24 NHK FM Music Square

こんばんはー布袋寅泰です。えーツアー真っ最中の布袋さんはですね興奮しちゃって本当に毎日もう眠れぬ夜をすごしています。

やっぱライブはいいねぇ、自分たちの曲空気を伝わってたくさんの人の胸にダイレクトに届けられる感じがすごいたまらないです。曲つくったりレコーディングしてる時っちゅうのはどっちかっていうとね産みの苦しみを味わっているわけですけれども、こうしてツアーやって苦しんで頑張って、出来た曲がひとりひとりの胸に伝わって、一人歩きを始めて、みんなで一緒に歌ったりリズムとったりしてもらっているうちに、なんかどんどん成長して、きっとツアーが終わる頃には成人式を迎えて晴れて独り立ちしてるんだろうねーとまぁいろんなこと考えると、やっぱこの仕事はじめてよかったような、やめられまへんな的な、はい、それと同時に自分の好きなことやってんだなーと思うとなんかとっても幸せだなーと思う今日このごろです。

さて今夜は先週のお約束通り、今一緒に旅して、感動やら緊張やら疲れを共にしている相棒の吉川くんをゲストにCOMPLEXの曲を中心に1時間半聴いてもらおうと思っています。最後までよろしくお願いします。

布袋:では早速紹介します。COMPLEXの吉川晃司さんです。

吉川:どうもー!

布袋:どうですか、調子は?

吉川:元気ですょー。

布袋:まんまと二日酔い?

吉川:まんまと二日酔いですねぇ。

布袋:ですねぇ。体の疲れとかも取れないよね。

吉川:取れないねー。

布袋:うーん、昔は、あっまた昔はって話になっちゃうんだけど、昔は一日やってもすぐに取れたんだけど。最近はもう。。。

吉川:体と精神が別物ですね。

布袋:ねー。えーとね、この番組もね今回で何回目かになるんですけど、吉川を呼んでくれってハガキもたくさん来てます。まず一つ紹介させてください。「はじめまして!私は中学3年生の女の子です。私、BE MY BABYが大大大大大好きなんです。寝る時に聴くと顔がニンヤリしてきて夜中にはしゃいで(吉川:寝れないじゃん。笑) そして朝聴くとBE MY BABY♪ってところが、よし!今日も一日がんばるぞ!と元気にさせてくれます。学校から帰ってくるとBE MY BABYが部屋に鳴りっぱなし。悲しい時もこの歌。いつでもどこでもBE MY BABYがないとダメです!」っていうね。BE MY BABYが好きな少女と呼ばれてさんからなんですけれども。

吉川:どうも!

布袋:はい!まず彼女のために1曲目聴いてください。BE MY BABY。

BE MY BABY / COMPLEX

布袋:はい!BE MY BABY聴いてもらいました。というわけでですね、もう会ってからどのくらい経つんだっけ?何年くらい経つんだっけ?

吉川:もう、6,7・・6年とか。

布袋:吉川がまだ、二十歳ってことはないね、二十歳前だったよね。

吉川:二十歳前だよね。19ぐらいだからね、だから、まぁ5,6年かな。

布袋:だよね。

吉川:うん。

布袋:初めて会ったのがSEDICでしてね、鈴木賢司くんにね、紹介されてね。あっちこっちで話してることなんですけど。彼が・・・

吉川:賢司くんっていったって知らないでしょ。

布袋:鈴木賢司っていうね。

吉川:ギタリストね。

布袋:天才的なギタリストがいましてね。いまロンドンいっちゃてるんだよね。

吉川:そうなんですよ。

布袋:で、向こうで頑張ってるんですけども、彼に紹介してもらって会わせて頂きましてですね。

吉川:いただきましたね。

布袋:はい。お酒もっていったんですよね、そのときも。

吉川:そうそうそう。

布袋:賢司くんが、もうちょっと安いやつにしようって言ったんだけど、いやーちゃんとしたの持っていこうよ!って言って、俺が金出したんだよ、あん時ーお金なかったのに。その頃はね、お金僕全然無かったですから。

吉川:そう、財布に500円しか入ってませんでしたから。

布袋:毎晩吉川に奢ってもらって飲んでたもんね。

吉川:うん。

布袋:毎晩飲んでたよね。

吉川:結構飲んでたねぇ。

布袋:で、家で俺がテレビとかみてて、ま、テレビ番組に吉川が出てて生放送だったりしてるの観てると終わって、あー終わったなぁと思うと、すぐさまに電話かかってきましたね。終わったから飲まない?みたいなね。そういう感じで毎晩飲んでて音楽の話だったりとか。

吉川:うん、ちょっと違ったりとかね。

布袋:愛だ恋だの話だったりとかそういうことを話しながら、クリスマスとかも結局何年間も一緒にやりましたね。

吉川:やりましたね。

布袋:ねぇ。そう思うと結構たくさん思い出あるですねぇ。

吉川:ありますね。久美ちゃんの結婚式で久美ちゃんのドレスを踏んでましたからね、この人は。

布袋:(笑)なぁーに言って、だって人から貰った花振り回してたのキミの方じゃん。

吉川:あ、そうか(笑)

布袋 :あれ怒ってたよ、他の人(笑)まぁそういう感じでお互い違うスタンスで仕事してたんですけども彼は彼ですごいいいアルバム作ってて僕はバンドやってて、それがまぁひと段落して一緒にやろうかってことになったってことだよね。

吉川:うん。

布袋:そんでモンセラットっていう島にいきまして、このモンセラットって島も、島っていうと聴いてるやつはさぁ、なんかハワイだったりとか・・・

吉川:なんかトロピカルな感じを想像すると思うんだけどジャングルの真ん中だよね。

布袋:全然違ったよね。

吉川:うん。

布袋:海とかもさ。

吉川:真っ黒で。

布袋:黒い砂で、まぁ水は黒くないんですけどね。

吉川:うん。

布袋:まーそんなモンセラット島で録音したファーストアルバムから続けて3曲聴いてください。路地裏のVENUS、そんな君はほしくない、そして2人のAnother Twilight。

吉川:はい。


路地裏のVENUS / COMPLEX

そんな君はほしくない / COMPLEX

2人のAnother Twilight / COMPLEX


布袋:いやーもうなんか懐かしいねぇ。

吉川:懐かしいですねぇ、やっぱ。声も違うねぇ。

布袋:声違うねぇ。若いねぇ。

吉川:若い。

布袋:うーん、でもなんか・・・

吉川:ソロも違いましたねー。

布袋:ソロ全然違う。一回ちゃんとコピーし直そうかなぁ、みたいな。

吉川:弾きなおして(笑)

布袋:でも、これだって1年半くらい前の音でしょ。月日が経つのも早い というか、まぁ遅いときもあるんだけど。こうやって、なんかさ、例えばこの間のライブビデオだったりとかこういうファーストだったりとか聴くとさ、あと自分の吉川のソロのときのとか、たまに聴いたりするとさ、なんちゅうの、逆になんか今がある感じがリアルになりますよね。

吉川:そうですねぇ。まぁ成長していかないといけないわけで。

布袋: 特に、うーん、このアルバムとかってさ、島でやった分だけ結構思い入れがあって、個人的にはヴィーナス、吉川の路地裏のVENUSって曲をアレンジしたのが、向こうにいってからアレンジしたんですけど、あのー、なんだっけ、泊まってたとこの隣にプールがあったじゃん。 あそこでね、夜、アレンジしたのを覚えています。

吉川:あらっ。あそこで。

布袋:うん。一生懸命作った曲だからカッチョよくせないかんなって思って一生懸命やったんですけども、気に入っていただけてますでしょうか?

吉川:いやぁいただけてますよ。うん。

布袋:その頃っていうのはね、僕と吉川は同じマンションに住んでましてね。

吉川:そうですねぇ。

布袋:はじめ、一緒にやるから、とりあえず近いとこにいてコミュニケーションとろうみたいな形で、でも音楽的な話よりは俺はなんかイカの内臓取れないから吉川んとこに電話してイカの内臓取ってもらおうみたいな。

吉川:出前の職人じゃねぇんだから(笑)

布袋:(笑)そういうなんか日々を過ごしてましたね。テニスやったりね。

吉川:あれはあれで楽しかったね。

布袋:ねー。あれもあれで思い出みたいなさ。ちっぽけなことみたいなことが重なって思い出になっていくんだろうね。思い出にするんだーみたいなものってさ、なんか軽かったり忘れちゃったりしてそうだもんね。はい。そいでね、もう一つハガキがきています。

吉川:はい!

布袋:「布袋さん、こんばんは。番組と一個も関係なくて申し訳ないんですが今日机の中を整理していたらこんなものが見つかりましたので差し上げます。見つけたとき思わずホゲーっと驚いてしまいました。 思えば吉川くんって物凄いスピードで変わっていったなぁとかちょうどこの頃私は小学校6年生だったなぁとかいろいろ頭の中を駆け巡りました。蝶ネクタイなんかしちゃって今じゃ考えられない!今もどんどん変わっている吉川くんをみるにつけ、これがめちゃくちゃ楽しみだし、そのパワーを信じています。走り続ける人、それが吉川晃司。私も負けないように高校最後の時を走り抜けたいと思います。」

吉川:よし!一緒に走ろう!

布袋:これだよ?

吉川:どれっ(笑)これは見せたくない、聴いてる人に。

布袋:凄いでしょ?

吉川:凄いねこれ

布袋:えーと、それ誰からだっけ?

吉川:マキちゃん

布袋:大阪のマキちゃんの、じゃ、気持ち、リクエストに応えまして、えー、なんちゅうの? 走り続けるのはしんどいことだけれども一度走り出したら止められないっていう歌なんですけど。

吉川:おっうまいねぇ

布袋:一応ちゃんと考えてきてるからさ。ランブリング・マン。そして恋するみんなにおくります。恋をとめないで。

RAMBLING MAN / COMPLEX

恋をとめないで / COMPLEX

布袋:はい、えーと俺たちみたいに二人でまぁデュオっていうんですか?そういう形でやってる人って日本ではすごい少ないよね?

吉川:うん。

布袋:今夜はね、そのデュオモノってやつを洋楽から3組僕が選んできたんですけれども一緒に聴いてください。

吉川:はい。

布袋:はい、はじめに紹介するのはイアン・ハンター&ミック・ロンソンでしてイアン・ハンターはモット・ザ・フープルってバンドを経てソロ・シンガーとして頑張っていた人で、かたやミック・ロンソンっていう人はデヴィッド・ボウイのジギー・スターダストのスパイダーズ・フロム・マーズっていうバンドで初期のボウイのイントロとかずっとやっていた人で。
吉川:う-ん、うん、うん、いいねぇ。

布袋:どことなく成り立ち方が俺たちに似てるような気がしますが酒飲み友達かどうだったかどうかはわかりませんけれども。

吉川:(笑)

布袋:次に紹介するのはティアーズ・フォー・フィアーズでメロディとコードのセンスはホントに並大抵のものではありません。3組目はスライ&ロビーっていう黒人のドラムとベースのチームなんですけれどもキレのいいリズムは僕と吉川の趣味の共通点だと思います。では、イアン・ハンター&ミック・ロンソンでハウ・マッチ・モア・アイ・キャン・テイク、ティアーズ・フォー・フィアーズでソーイング・ザ・シーズ・オブ・ラブ、最後にスライ&ロビーでレッツ・ロックを3曲続けて聴いてください。


How Much More Can I Take / Ian Hunter & Mick Ronson


Sowing The Seeds Of Love / Tears For Fears


Let's Rock / Sly & Robbie


布袋:今夜のマイ・カウントダウンはですね、吉川に3曲持ってきてもらって吉川の3曲をマイ・カウントダウンで聴いてもらいたいんですが、今夜は何を持ってきてもらいましたか?

吉川:はい。いや、僕も結構ギターサウンズが・・・ギターサウンズじゃない、ギターサウンドが(笑)

布袋:ギターサウンズ(笑)だっさーい(笑)

吉川:昔から(笑)好きで。

布袋:そうだよね、好きだよね。

吉川:結構ギターが好きだったからねぇ、それで、なにやらアマチュアバンド時代っていうのも僕も3年くらいありまして、その頃によくコピーしていたですね、もっぱら歌ですけどね、えー土方隆行っていう人の。

布袋:あー土方さん。

吉川:はい。ソロ・アルバムから1曲とですね、あと、アンディ・マッコイちゃんと。

布袋:うん。

吉川:はい。あとカーペンターズに最近ハマってるっていう。

布袋:あ、僕もハマってます。

吉川:やっぱ、いいっすねぇ。

布袋:いいっすよねぇ。

吉川:なんかやっぱ近親相姦でさ、なんかこう恋に悩んでもう苦しみぬいたって感じの詞とか、あのー夕方とかさ、ビール飲みながらベランダで聴いてるんですけど。

布袋:なんかさ、愛の形が微妙な分だけリアルなんだよね。

吉川:うん。なんかすんごい泣けるんだよね、最近涙モロくて。

布袋:(笑)

吉川:はい、というわけで、その3曲を。オール・スルー・ザ・ナイト、アイ・ウィル・フォロー、イエスタデイ・ワンス・モア。


All Through The Night / Takayuki Hijikata

I Will Follow / Andy McCoy

Yesterday Once More / The Carpenters


布袋:「布袋さん、COMPLEXのNew CD聴いたよ!発売したその日に虜になってしまいました。次の日ラジオでベルリンの壁のこととか行ったこととか布袋さんが言ってて、それからCD聴いたら涙モノ。今までなに聴いていたんだろうって感じです。まわりの音が前回よりとても凝っていて、それだけでも凄いのに、なんかただの歌じゃないって気がして、 西と東の~なんて聴くとテレビでニュースをみたシーンを思い出して、あたしもそこにいたかった!と思えてきて壁がなくなる前にいきたかった気もするし、壁を一緒に壊したかったような気もする。まわりの社会なんて関係ないって心のどっかにあって、それがとっても恥ずかしかったし、情けなかった自分をわからせてくれたこのCDがとっても好きです。布袋さんも吉川さんもとても好きです。これからも頑張って私たちに夢をください。そしてCOMPLEX世界を教えてください。いつまでも応援しています。」ワタナベヨウコさんからで、どうもありがとうございます。

吉川:どーもー。

布袋:いきなりね、セカンドですごいテーマみたいなものがすごい深いところにいったんだけど、吉川にとってはそういう、なぜ吉川がそういう方に向かったきっかけ みたいなものって、どの辺だったのかな?

吉川:やっぱりアレだよね。そういう、まぁ89年のああいう事件
とかいろいろ、最初ニュースとかでみててさ、なんかやっぱりそのー天安門事件とか、ああいうの見て涙したり、おんなじくらいの歳のやつらがさ、もう俺らがやらないと国がダメになるみたいな感じでさ。

布袋:うん。あの時期、だからいろんなことがいっぺんに起きたからね。

吉川:起きたよねぇ。

布袋:無視できないっていうかさ。

吉川:うん。

布袋:俺らは離れていて、日本はたんたんと平和そうに見える日々を過ごしていたわけだけど。

吉川:でも本当に自由か?平和か?っていうとそんなハッピーなことなんてそんな毎日、めったにあるわけじゃないし。結構苦しんでみんなやってるわけじゃん。

布袋:どっちかっていうとそうなんだよね。だから手紙なんか読んでると、ハッピーな手紙も多いけど、なんかどっかで寂しかったり辛かったり、でも俺らっていうのは 国の動き方がどーのこーのっていう直接的な問題がない分だけ気づかなくなってる気持ちの中にあるんだろうね。

吉川:だから俺も東欧とかベルリンとかいってなんかすっげーそういう気持ちになって夢とかそういうのがなかなか見つけにくいんだけど、俺らってあのぉラッキーだったと、すごくラッキーだったと思うんだけど、そういう位置にいるわけじゃん。そういうことを、こう使命感とかそういうんじゃないんだけど、なんかこう・・・やりたくなった、やらないと気がすまなくなった、血が踊るっていう感じかな?

布袋: そうだねぇ。とくに、いろいろな問題あるでしょ。アパルトヘイトだったりチェルノブイリだったり森林問題だったりさっき言った天安門だったり、離れたところから見ていても結局日本どこどことかじゃなくて結構世界的な規模っていうか地球的な規模じゃん。いま問題になってることっていうのはさ、無視できないし自分たちでさ少しでも 何かやろうとかじゃなくて気持ちの中に 置いておけばね。

吉川:現実は現実として見守っていきたよね。やっぱり。

布袋:うん。なんかそういう風にシリアスな気持ちになってると言い方悪いけど、すごい自分がさ、信じられるっていうか自分で
すごい気持ちよくなれたりするじゃん、あんまりいい加減な自分を、もちろんあるんだけどさ。 その反面なんかシリアスな自分っていうかさ。

吉川:高まっていけるよね、なんか。

布袋:そんな危機感みたいなものをね、僕らなりに吉川が詞をかいて僕が曲をかいて表現した曲を2曲続けて聴いてください。 ニューアルバム「ROMANTIC 1990」からドラゴン・クライム、ザ・ウォール。


DRAGON CRIME / COMPLEX

THE WALL / COMPLEX


布袋:えーこの作品はね、そういった時代背景だけを描いたモノではなくて人それぞれの気持ちの奥に隠された情念とか風景とか
を表現したものが多いんですけれど、たとえば恋心とかだってさ、とっても重い感情だったりしますよね。

吉川:します。

布袋: 何日間もその人のことを想って眠れない夜を過ごしたりするものじゃないですか。

吉川:じゃないですか。

布袋:っつーことで、そんな感じの曲を2曲続けて聴いてください。モダン・ヴィジョンとマジェスティック・ベイビー。


MODERN VISION / COMPLEX

MAJESTICK BABY / COMPLEX


布袋: というわけでですね、1時間半吉川と一緒にお送りしたわけですけれども、今夜は来てくれてホントにどうもありがとう。

吉川:どうもどうも。

布袋:えーきっとラジオの前のみんなもすごい満足してくれたと思いますけれども。

吉川:うん。

布袋:ツアーずっと続くんだけど、吉川からなんかみんな方に。

吉川:そうですね、えー、すべての人に夢と愛と勇気を。ネヴァー・ギヴ・アップ!

布袋: ホントにそうだよねぇ。なんか毎日、やるぞ!って生きてると。

吉川:きっとさ、勇気ってさ、いつか報われると思ってやりたいよね。

布袋: 俺もそう思うな。そう信じて生きていきたいし、みんなにもやって頑張ってほしいなと思います。本当に今日はどうもありがとう。

吉川:ありがとうございました。

布袋:ツアー、また頑張りましょう!

吉川:頑張りましょう!

布袋:はい、というわけで、COMPLEX特集いかがでしたでしょうか?えー僕らが感じていることだったり、ちょっとでも伝わったら嬉しいなと思います。僕らの旅はまだまだ続きますが、行く先々で何よりも嬉しいのはみなさんの笑顔だったりするわけでコンサート観れない人も少なくないと思いますけれども、このロマンティック1990っていうアルバムには僕らの想いがぎっしり詰まっていますんで何度も何度も味わって確かめてほしいと思います。

吉川:うん。

布袋: えー来週はお月様特集ですのでお楽しみにしてほしいと思います。 えー今夜は、今回のツアーのハイライトともいうべきアフター・ザ・レインなんですけれども、えーこの曲は僕と吉川の音楽歴の中ではすごい珍しいタイプなんだけど、すごい歌ってて気持いいし、ギター弾いてて気持いいし。たぶん・・・

吉川:こっからさ、また新しいなんかが始まるよ。

布袋: そういう感じだよね。その曲を聴きながらお別れしたいんですけれども。はい!では、来週までみんな元気でいてください。また来週!よい夢を、おやすみー!

吉川:おやすみー!


AFTER THE RAIN (朱いChina) / COMPLEX



ぴあミュージックコレクション「布袋寅泰のRadio Pleasure Box」巻末の1990年5月24日OAリストには、スライ&ロビーのレッツ・ロックの記載がありません。

>> #009
2012年5月18日金曜日

ALL NIGHT NIPPON GOLD - 2012.5.18


オールナイトニッポンGOLDの金曜日の放送がオールナイトニッポン45周年特別企画として2012年4月6日よりパーソナリティが週替わりで担当して放送中です。5月18日は布袋寅泰が担当することになりました。
LIFE IS CHALLENGE・・・このメッセージで、先日、英国への移住を発表をした布袋寅泰。 アーティスト活動30周年を一区切りに、50歳からの新しいスタートを決意した強 い思いを生で語る一夜限りのスペシャルな放送!
そして、6月18日、19日 日本武道館で行われる渡英前最後のLIVE『布袋寅泰 GREATEST SUPER LIVE "GUITAR × SYMPHONY" HOTEI with THE ORCHESTRA ~World Premiere~』についてもその内容やLIVEにかける思いもご本人が語ります!!

2010年よりhttp://radiko.jp/に於いて民放ラジオのインターネット経由でのサイマル放送が始まったことで、ラジオが身近に感じられるようになりました。しかも電波状況に左右されない上にノイズが少なく高音質です。

布袋寅泰のオールナイトニッポンGOLD・・・せっかくの特別番組ですので、録音する人も多いことでしょう。私はRadikaという素晴らしいフリーのソフトウェアを使用しています。

Radiko録音ソフト Radika [Windows]
予約録音はもちろん大抵のことは全部網羅されているスグレモノです。録音ファイル形式もWAV,MP3,AAC,FLVなど主要なフォーマットがサポートされています。

radikker [iOS App]
ラジオを聴きながら同じ番組聴いてる人とtwitter

KeyHoleTV [Windows]
radikoで聴けない場合でも・・・
2012年5月13日日曜日

#007 - 1990.5.17 NHK FM Music Square

こんばんはー!布袋寅泰です。えー急に暖かくなってきましたね。
ホントにこういう季節の変わり目とかって油断しちゃってなんか風邪とかひきやすいもんですけど、みんな元気でやてますか?僕のほうはですねぇツアー始まって体中が痛くて痛くて、大体運動っていったらもう犬の散歩くらいしかしませんから、ステージにあんだけ動くっていうのは、ほとんど寝起きで100mダッシュするっつーくらいなもんですから、体にいいわけないよね、ホントに。えー終わるとそれで脱水状態になってるのでビールをガブガブ飲めちゃうしタバコもついでに吸っちゃうし興奮しちゃってなかなか寝れないし、とはいえ一年に一度みんなと会えるわけですからえー十分楽しみながら旅を続けています。

えーとこの間お送りしたライブ特集のときの反応が凄くて驚いています。産まれてこんなにお手紙貰ったのは初めてです。すごいたくさんの人からお手紙貰って。ひとつ紹介しようかな?「布袋さん、今晩は。 先週の放送どうもありがとう。BOØWYの曲は正直いって聴くのはとっても辛かった。解散して久々に聴いたBOØWYはやっぱり宇宙一でした。でも一緒に歌っているうちに涙が勝手にどんどん出てきて、あと3年早く産まれていたらよかったのにな、そしたら、もっとBOØWYが聴けたのに、そんな悔しい思いとBOØWYが活動した頃のドキドキした気持ちぐちゃぐちゃになった4曲でした。あと布袋さんの歌ってくれた歌がとても嬉しかった」と書いてきてくれました 。はい、この娘は大阪のマキさんですね。たくさんこういう手紙が来まして、なんか涙交じりの手紙がすごい多かったんだけど驚いているのと同時にやってよかったなと思ってます。また機会があったら、ああいった形で特集くんでやりたいと思っていますので、そんときはまた聴いてください。

今日はですね、なんとなくどっか変な人たちを集めて、なんか変だな?っていう人たちを集めて、みんなをフワフワと、なんていうの?平衡感覚ゼロ状態に持っていこうと思って、うちのレコード棚?CD棚か、CD棚から選んできました。長いようで短い1時間半楽しんでもらえるとうれしいです。

それではまず1曲目、完璧に海賊になりきっていた変な人たちです。アダム・アンド・ジ・アンツでスタンド・アンド・デリヴァー!

Stand And Deliver / Adam & The Ants


最近変なやつってなんか少なくなったような気がしますよね。なんか街歩いてても、派手な人とかすごい多いけど、なんていうの?内面から滲み出てくる変さ加減な人って結構街で歩いていても振り向いちゃったりするじゃないですか。なんかあんまりそういう人に出会わなくなっちゃったんだけど。 暗くて変な人と、なんか明るくて変な人って両極端なんだけど両方ともありますよね。次はちょっと暗いかな?ザ・キュアーでラヴキャッツ。

The Lovecats / The Cure


えーうちの猫もつられてニャンニャン泣いちゃった人もいるんじゃないでしょうか?ザ・キュアーでラブキャッツでした。えー猫がダメでして、猫アレルギーで、なんか猫のそばにいるとくしゃみと涙が止まらなくなっちゃって、すごい好きなんだけど 哀しいからそばによれない僕なんですけども。

次に紹介するのはトイ・ドールズってバンドで何回か来日していて僕もライブハウスまで見に行ってすごい盛り上がったことがあるんですけど、こういうバンドって、すごいライブが最高ってバンドですからね、ライブ見て体験するっていうかね体感ビートっていうか、そういうのがやっぱ一番だと思います。この間もジーザス・ジョーンズ見に行ったら、すごい良かったなあ。はじめから最後まで踊り狂ってしまいましたが。

えーと北海道の鈴木くんからなんですけども「ツアーが始まりますが、ツアー中ミュージックスクエアはどうなるのですか?札幌月寒グリーンドームのライブはちょうど木曜日ですよ?」これは生ではなく録りなんです。

とりあえず、トイ・ドールズを3曲続けて聴いてください。グレンダ・アンド・ザ・テスト・チューブ・ベイビー、ハリー・クロス、メリー・ジ・エレファント。

Glenda and the Test Tube Baby / Toy Dolls


Harry Cross / Toy Dolls


Nellie The Elephant / Toy Dolls


このお便りは名前がないんですけれども「布袋さんはちびまる子ちゃん見てますか?この絵はその漫画に出てくる人物のひとりです」といってマルオくんが書いてあるんですけれども、ズバリそうでしょう?の人ですね。日曜日は、笑点、ちびまる子ちゃん、サザエさんと一応黄金の方程式にいつもはまってます。5時からビールの布袋さんと一応うちでは呼ばれているんで5時からビール飲みながら見ています。次に紹介するのは、ちびまる子ちゃん感覚のひとたちを2組。えーファイン・ヤング・カニバルズでアイム・ノット・ザ・マン・アイ・ユーズとアンビシャス・ラヴァーズでコピー・ミー。

I'm Not The Man I Used To Be / Fine Young Cannibals


Copy Me / Ambitious Lovers


だんだん暖かくなってきますよね。もうすぐ夏ですよね。夏はねー痩せてるからTシャツとか全然似合わないんで全然着るものがないんだよね。なんかスーツでビシっとしてるのもなんか文字通りやせ我慢してみるみたいだし。冬の方がどっちかっていうと好きだな。なんかすーっとしてる空気もなんか澄んでる感じもするし、でも 冬になると夏のがいいなとか言ったりするんですけど。あぁーーーーなんか半ズボンで麦藁帽子かぶって夕焼け眺めてたあの頃に帰りたいなー、うーん、蛙の声きいてね。ゴルチエさん、おしゃれな麦藁帽子作ってください。

最近ハウスとボディ・ビートに最近ハマっていますんでゴルチエさんとフロント242をかけます。ジャン・ポール・ゴルチエでテクニック・アイディア、フロント242でアンティル・デス。

Technique Idea / Jean Paul Gaultier

Until Death / Front 242


えー次に紹介するのはですね山木秀夫さんっていって日本のドラマーなんですけれど最近は近藤等則 & IMAっていうバンドを中心に活動していますがホント世界に出て行っても絶対に負けないテクニックとパワーを持った人です。山下久美子のPOPとかCOMPLEXのROMANTIC1990でもたたいてもらったんですけれども、こないだ川崎のクラブチッタでARBの浅田さんと僕と3人でライブやったんですけど、気持ちよかったなー。スタジオミュージシャンとしても凄い一流の人なのできっとみんなもどっかで 彼のドラムを耳にしてると思います。そんな山ちゃんが初めてつくったソロ・アルバム「テンテレツク」ってアルバムから1曲聴いてください。吉田美奈子さんの歌がすごいとってもよい味を出しています。山木秀夫さんでルーパー。

LOOPER / Hideo Yamaki


愛知県のサッカジュンコさんからのお便りで「どうもはじめましてこんばんは、布袋さん(こんばんは)毎週楽しく聴いています。(ありがとうございます) 布袋さんのボワンとした声を聴くと私はいつも往年のラジオ番組サウンドストリートの火曜DJの坂本龍一氏の声を思い出します。坂本さんもこんなボワンとした感じの声でした。そうそう坂本さんが、ストレスやコンプレックスのない人は声帯が圧迫されないからボワンとした声を出すって言っていましたっけ。 布袋さんもそうなんですか?」そうかもしんないです、はい。でも 声ってね、まー自分の声はさておいといて、すごいやっぱ自分だけのものでしょ?なんか歌う人とかって、うん、その自分の声のキャラクターでなんかすぐ、あっこの人だってわかっちゃうんだもんね。声って大切なんですね。えー僕の凄い好きな声の人なんですけどもスパークスのラッセル・メイル って人は高い声なんですけど、すごい綺麗で澄んだ声で、うーん、そこがまた変な感じを醸し出すんですけども、その人を聴いてください。スパークスでドレミ。

Do Re Mi / Sparks


変なのー変なバンド!やっぱりスパークスは変だな、なんか。次に紹介するのはフランスのリタ・ミツコっていうバンドなんですけれども、この曲にもスパークスの今歌ってたラッセル・メイルが歌っているんで、もう1曲ラッセル・メイルの声を聴いてください。リタ・ミツコでヒップ・キット。

Hip Kit / Les Rita Mitsouko


最近どのバンドがお気に入り?って聴かれたら僕はゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツと答えます。えーすっごくね、なんちゅうの?色んなジャンルの音楽的要素が詰まっていて退屈しないんだよね。ずーっとなんか退屈しないで聴ける、どことなくぽわ~んとしていて気持ちよくなっちゃうんだよね、なんか昼寝したくなっちゃうような音です。うん。この人たちの作品はどれもホントにハズレがないので興味がある人は是非聴いてみてください。学校でゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツが流行ったりしたら不気味ですけど。

今夜のマイ・カウントダウンは、そんな彼らの曲の中から
超ボクの趣味で3曲選んできました。えー3曲続けて聴いてください。ライ・スティル・リトゥル・ボトル、ザ・ワーツルズ・アドレス、そしてホット・チャ。

Lie Still Little Bottle / They Might Be Giants


The World's Address / They Might Be Giants


Hot Cha / They Might Be Giants


次に紹介するのはウクレレ・オーケストラっていう人たちなんですけどウクレレ奏者がたくさん集まってね、なんか出来たバンドなんですけど、バンドっていうのかな?中にはフライングVっちゅう形のギターなんだけどV字型になっててね、よくヘビメタ関係の人が使うやつですけども、そのフライングVの形のウクレレを持ってる人とかいて大笑いしてしまいました。えーじゃ今日はそのウクレレ・オーケストラを紹介したいと思います。ウクレレ・オーケストラでズバリ!サティスファクションでしょう!

Satisfaction / The Ukulele Orchestra of Great Britain

みんなは、えーとアジアの香りのするメロディとかリズムとかって好きですか?日本の沖縄の音楽とかはね、バリ島の音楽とすごい基本的な解釈は同じだといわれていますけれども僕らがほんとに生まれるずーっと前とかきっとみんな繋がっていたんだろうね。だってこういうこういう大陸的なものを聴くと懐かしいもんね。とりあえずそんな大陸的なやつを2曲続けて聴いてください。ディック・リーでラサ・サヤン、ヴァン・ダイク・パークスでトーキョー・ローズ。

Rasa Sayang / Dick-Lee

Tokyo Rose / Van Dyke Parks

次はえーと映画音楽から2曲続けて聴いてもらいたいんですけれども、まずはじめにビートルジュースの中でかかるデイ・オーっていう曲なんですけども、この曲がかかるとみんな踊りだしてしまうっちゅう、まぁ観た人にしかわかんないかもしれないけど
すっごいおかしい瞬間があるのね。えーその、もう何十年も前にバナナ・ボートっていう曲名で大ヒットした曲で、きっとお父さんとかお母さんは懐かしがるんじゃないでしょうか?そして次が
ヘア・スプレーっていう、まぁちょっとひねくれた青春ダンスパーティモノなんですけども、全編ロックンロールが流れていてとってもチャーミングな映画です。機会があったら是非みてくださいね。それでは、ビートルジュースの中からデイ・オー、ヘアスプレーの中からタイトル曲でヘア・スプレー。

Day-O - The Banana Boat Song / Harry Belafonte


Hairspray / Rachel Sweet


えー今夜はどことなく抜けてて、でもなんか憎めないんだけど鋭いと思えば鋭い変な曲たちを聴いてもらいました。うん。それとお手紙どうもありがとね。すごく嬉しいです。ますますいい曲をかけなきゃ!という気にさせてくれるみんなが愛しいです。

えー何通か紹介しましょう。

「今晩は!布袋さん、といいつつ、翌日の朝かいているんですけれども、この放送を聴いている人は 洋楽をあんまり聴いていない人が多いそうで私もそうなので少しホッとしました。洋楽は嫌いじゃないけど、なんだかしんどくなってしまうのです。なぜでしょうね。だいたい外国からわざわざ入ってくるんだから素晴らしいものが多くて息抜きができないからでしょうか?でもこの放送はとても楽しく聴いています。 布袋さんと同じく90分という長さを感じません。どんな曲を聴いたあとでも布袋さんの落ち着いた声をきくとホッとします。だから私の願望としてはこのままでいてください。なんか軽っぽくなっちゃったら寂しいな。では、また!(では、また!)」

えーシロツメグサさんですね。軽っぽくならないようにがんばってんですけど、軽っぽくなったら注意してください。

えーと次は

「私は今日病院に行ってきました。膝悪いんです。ずっと病院にいっていなくて、 だから怒られました。すごい落ち込んでいます。また悪くなったらまた手術です。だからリハビリがんばらないといけない。私はなんでも三日坊主で、だからここで宣言させてください。私はがんばってよくなります。布袋さんやみんなに宣言したからにはがんばるぞ!」

これは膝が治ってほしい少女。がんばってください!

そしてですね、もう一通は三重県のタカクラさんからで「布袋さん、はじめまして。私はいま刹那さで押しつぶされそうな状態でしっかりしゃな!となかなかうまくいかずウルウルした毎日を送っています。そんな私を遠いところから見守って励ましてくれるのはムーン…そう月なのです。真夜中にただぼーっと月明かりを見ているだけで涙はこぼれるけど 心がなんか軽くなってしまいます。このことを友達に話したら、それちょっと危ないんとちゃう?言われてしまったけれども月とか星とかってなんか大きなパワーを感じてしまうのって私だけなのかな?(いやいやとんでもない!僕もそうです。)そこで是非お願いがあります。月明かりにピッタリなナンバーを涙ポロポロでいいですから聴かせてください。」

そう!僕も凄い月が好きでね。ルナティック・パワーっていうんですか、なんか月から発せられるパワーにはすごい魅力を感じてしまいます。 というわけで再来週あたりね月モノ特集をやろうかなと思っているですけれども、なんか月に思い入れあったりとか、この曲ききたい、 月に関係ある曲とかあったら葉書をたくさん送ってください。

なぜ再来週かといいますとですね、来週は みんなから呼んでほしいという声がすごい多い相棒の吉川くんを呼んでツアーのこととか、コンプレックスのこととか、まぁ吉川のこととか喋りながらコンプレックス特集をやろうと思っています。是非楽しみにしていてほしいと思います。

いやーでも早いね、1時間半。うーん。でも来週も会う約束をしているようなものだからまた1週間がんばれそうです。みんなもホントに体に気をつけて元気でいてほしいと思います。はい。

それでは最後の曲になってしまいましたけれども、今日はプリンスのウェン・トゥー・アー・イン・ラブという曲を聴きながらお別れしたいと思います。 それでは、よい夢を、おやすみー!

When 2 R In Love / Prince









ぴあミュージックコレクション「布袋寅泰のRadio Pleasure Box」巻末の1990年5月17日OAリストには、最後に放送されたプリンスの楽曲の記載がありません。また曲名やアーティスト名の誤植もありますので当記事を参考にしてください。